鹿児島家庭裁判所 昭和58年(少ハ)1号 決定 1983年5月19日
少年 K・KことK・Z(昭三六・八・一四日生)
主文
当裁判所が昭和五八年三月四日に昭和五七年少第六八五八号・昭和五八年少第五三六一号各道路交通法違反、昭和五八年少第二〇一号・同第三六二号各窃盗、同第三六四号窃盗・同未遂各保護事件につきなした「少年を中等少年院に送致する。」旨の決定を取り消す。
本件を鹿児島地方検察庁検察官に送致する。
理由
一 本人は、主文第一項記載保護事件についての捜査機関の取調、当裁判所の調査、審判の際、一貫して実弟のK・K(昭和三八年四月一六日生)の氏名を詐称し、本人の父親もこれに口裏を合わせたため、当裁判所は、昭和五八年三月四日本人を未成年者として中等少年院に送致する旨の決定をした。
しかし、その後捜査機関の捜査により、K・Kは、重度の自閉症のため最近ほとんど自宅に引きこもつていることがわかり、更に、主文記載の昭和五八年少第五三六一号事件記録中のK・K名義の供述書及び昭和五七年少第六八五八号事件記録中の速度測定カードに押捺された各指紋は、K・Kの指紋と異り、いずれもK・Z(本人)の指紋と一致することが判明し、本人が、K・Kの氏名を詐称して審判を受けたことが明らかとなつた。
二 ところで、本件記録によれば、本人の生年月日は昭和三六年八月一四日であることが認められるから、本人は、主文記載の各保護事件についての審判当時既に成人に達しており、本人に対し審判権がなかつたことが明らかであるので、少年法二七条の二、一項により本人に対する中等少年院送致決定を取り消したうえ、同条三項、同法一九条二項に基づき同保護事件を検察官に送致することとする。
よつて、主文のとおり決定する。
(裁判官 湯地紘一郎)
調査報告書<省略>
電話聴取書
発話者
鹿児島市役所市民課戸籍係
△○係員
鹿児島局
昭和58年4月14日15時10分
××-××××番
備考
K・Zの身元照会
受話者
鹿児島家庭裁判所
家庭裁判所調査官 ○○○○<印>
内容
照会のK・Zについて
(本籍) 鹿児島市○○×丁目××番
(生年月日) 昭和36年8月14日
(戸籍付票による住所) 鹿児島市○○町××番地
(住民となつた時期) 昭和56年7月1日
(その他参考事項) 尚同人は、昭和57年10月26日A子と協議離婚している。
電話聴取書
発話者
出水郡○○町役場戸籍係△△係員
指江局
昭和58年4月14日15時 分
××××番
備考
少年、K・Kの身元照会
受話者
鹿児島家庭裁判所
家庭裁判所調査官 ○○○○<印>
内容
照会のK・Kについて
(本籍) 鹿児島県出水郡○○町○○××番地
(生年月日) 昭和38年4月16日
(戸籍筆頭者) 父K・O昭和6年1月15日生まれ
以上の通りである。